仕事着にしては、派手すぎる服。
「これ派手かしら?」
彼女は訊いた。
「いや」
私は微笑みながら答えた。
「マリーの場合は時々ワイルドになる必要があるから」
彼女は安心したような笑みを見せた。
朝、私のオフィスに彼女が入ってきたのだ。
あまりにもセクシーな服だった。
濃い色のタイトドレス。
丈は短いし、胸のラインは大きく割れている。
それ相応のデートの時ならいい。
でも、仕事にはダメ。
実によくない。
だが私に何が言えよう。
それにしても、なぜマリーはあんな服を着ているのだろうか?
「デイブに着せられたの」
変だ。
「そう・・・デイブが着せたがった服なの。
デイブは、やきもちやきのタイプじゃないんだね。
マリーは、着るものを彼に決めさせているの?」
「今日はね。
昨日は彼の誕生日だったの」
まだ変だ。
「まだ誕生祝いの続きなの?」
「彼に、誕生祝いとして、昨日の夕方から24時間、彼が望むことを何でもすると言ったの」
なるほど。
興味を引かれた。
マリーを見る。
「どんなことでも?」
「ええ、どんなことでも」
彼女は、危険に身をさらして生活するのが好きらしい。
私は、好奇心が急速に高まった。
デイブはこういうチャンスをもらってどんなことをするのだろう?
昨日の夜はどんなことがあったのだろう?
無邪気で可愛いマリー。
「で、どうでした?」
これは適切な質問だ。
せんさく好きそうな訊き方じゃない。
自由に答えられる質問形式だから、彼女が話す気になってるか確かめられる。
「そうね。
彼に外に連れ出されたわ。
その時もこのドレス」
話しだしてる!
「彼のための一夜のはずだったけど、ずっと、まるで私の誕生日のようだったわ」
「ホント?」
これにも興味を引かれた。
多分、デイブには私に欠けている性質を持っているのだろう。
「彼は私の気持ちを和らげようとしていたと思うの」
「マリーが約束しただけじゃ十分じゃなかったのかな?」
「ええ、だって、その後はものすごくワイルドになっていったんですもの」
「でも、マリーは今もこうして生きているわけだから・・・」
私の中の何かが、彼女に話を続けてもらいたがってる。
オフィスのドアは閉まっていたが、マリーは肩越しに振り返って確かめた。
その後、体を傾げて近寄り、低い声で話す。
「彼・・・
私を寝室に連れていったの。
そしてベッドに寄りかかるようにさせたわ。
そうね。
半分だけ体を横にするような感じ・・・」
マリーは私が状況が掴みかねているのに気がついた。
「こんな感じよ」
私のデスクの端に覆い被さるように顔を下にし、体を曲げる。
体は両腕で支えられているが、お尻はちょうど端の所に来る格好。
その格好を見て、私は様々な可能性を想像した。
「それで?」
せんさく好きと思われようとも、私は知りたくてしかたなかった。
体を曲げているので、胸の上のところがほとんど丸見えになっている。
「それからドレスの裾をまくられたの」
マリーは片手でドレスの裾を掴み、何センチかお尻の方に引き上げた。
が、途中で止める。
「その位まで?」
クククと笑っている。
「お尻がすっかり出るまでよ」
「パンストは?」
「一晩中、ドレスの下は裸にさせられていたわ」
私は唾を飲み込んだ。
彼女の足の方を見る。
パンストは履いてない。
「レストランでも?」
「ええ」
「どんな感じだった?」
考えているようだ。
「興味深かったわ」
ようやく出た返事がこれ。
「それで、その後はどんなことが起きたの?」
「なんだかずいぶん詮索しているわ!」
「でも、話を始めたのはマリーの方だし、ここまで聞いたら、私も好奇心も募るよ」
「手を後ろに回して自分であそこを触るようにさせられたわ」
マリーは、実際に片手を後ろに回し、手をお尻に当てた。
ドレスの上から。
マリーはデイブに言われた通りの服装をしている。
ならばドレスの下は今も何も着ていない。
そうに違いない。
「そうよ、もちろん、その時はドレスはもっと捲れていたけど」
私が想像できなかった場合を考えてマリーは付け加えていた。
「マリーはそれをして、彼はずっと見ていただけ・・・
そういうこと?」
「いえ。 それはちょっとの間だけ。
その後、彼はおちんちんを出して、私の後ろについたわ」
その時には、私もマリーもあからさまになっていた。
「彼に後ろからされたってことだね。
男の人はそういうのが好きだから・・・」
「ええ。
私も熱くなっていたから。
その準備も整っていたし。
でも・・・」
「でも?」
「彼は後ろの方にしたの」
私はマリーが何を言っているのか考えていた。
そして、突然、その意味が分かる。
うろたえて倒れそうな気分だった。
デイブがアレをこの可愛いマリーにした?
「アレをした?」
「生まれて初めてだったわ」
私はじっとマリーを見つめていた。
「本当に・・・?」
「ええ。
私も、凄くそういう気分になっていたの。
よかったわよ。
私、大きな声を出していたわ」
デイブは可愛いマリーにした。
マリーは喜びに声をあげていた。
頭に浮かんだ光景に催眠術をかけられたように惹かれた。
「アレ・・・とっても・・・よかったわ・・・」
マリーの声。
私は、呆然とした状態から元に戻ろうと、頭を振った。
マリーは手をお尻に当てている。
うっとりとした表情をしている。
ドレスの下のお尻は裸。
マリーの手が少し動き、ドレスの裾がさらに上にずれた。
手を伸ばせば、彼女のお尻に触れることができる。
マリーはじっと私を見つめていた。
何も言わない。
ただ、ある表情が顔に浮かんでいる。
「私が言ってること分かる?」
ようやく口を開いた。
呼吸の乱れが声に混じっている。
「分かる」
私は答えた。
「彼に会いたいと思わない?・・・
私と一緒で」
生唾を飲んだ。
答えなかった。
「もちろん、断る」
そう言うべきだった。
「答えようと考えているのね?」
マリーは付け加えた。
私は黙って、座ったままだった。
「彼は家にいるわ。
私の家に来て」
マリーは立ち上がり、私の手を取った。
これを私はどのように説明したらいいのだろう?
私はマリーと一緒に仕事をさぼった。
彼女の車に乗せられて、マリーの家に向かっている。
「デイブが今朝、新しい命令をくれたの」
運転しながらマリーが言っている。
「その命令とは、女を一人ゲットして彼のところに連れてくること」