「葉書」 Postal by Adrian Hunter  From Desdmona's Erotic Stories Contests: 2003 Erotic Postcard Fiction Contest Winners

ピンク色に染まる日没。太古のような砂浜。クック船長。ジュリーは、絵葉書のラックをもう一度回してみた。でも、彼女が書かなくてはならないメッセージに役立ちそうなものは何もない。

とにかく、ファアアの空港の名前はどんなのだっただろう? 「ファーはファイトのファー」 トラップ一家の歌声が彼女の頭の奥で響いていた。

ともかく、タヒチは彼の考え。何もかも、彼が考えたこと。そ、こ、が、だ、い、じ。

出口の外をちらりと見た。マイケルが「ル・トラック」とか言う名前のトラックの運転手と話している。運転手は、怒った身振りで荷物の山を指し示していた。特に、鎖でつながれたお揃いの2つの大型トランクを。

意識的に、関係が分るようにしてるわけじゃないんだけど。

もう本当に1年になったの? ジュリーは今でもはっきりと思い出せる。alt.sexのニューズグループへ彼が投稿した記事の一つに、自分が書いた辛辣な返事の一言一言を。すぐに、オンラインでの二人の関係が変化し、毎日Eメールをやり取りする関係に花開いていった。Eメール、インスタント・メッセージ、そして、片手でタイプし、自分に洗濯バサミをつけ、爆発的なオルガスムを感じた数々のチャット。

ジョーダン、ジャクソン、J・フォックス・・・。誰かが何気なく「マイケル」という言葉を言うたびに、ジュリーは近くの壁で自分の体を支えなければならなかった。彼女の現実の(ふんっ!)ボーイフレンドは、それを見て狼狽することが増えていく。

事実上、奴隷のように虜にされて11ヶ月。とうとう、彼と1杯のコーヒーを飲むために1600キロの旅をした。砂糖が溶ける前に、2人はその夜の部屋を予約していた。そして、それから3回。

今回、ジュリーは2週間、祖父母のところに行ってくるとバリーに伝えていた。ジュリーの祖父母が1988年に亡くなっているのをバリーは知らない。

オーナーによると、2人の別荘にはいかだでしか行けないと言う。海賊が略奪品を隠すには絶好の場所。秘密のおもちゃ箱。地図にはその場所にXXXと印がある。

ジュリーはゴーギャンの絵の葉書を取った。カウンターに持っていき、字を書き始める。

書き込むスペースはあまりない。そのほうがいい。簡潔に、勇気を持って。

「親愛なるバリーへ、こうなったのは、あなたの性じゃないの、でも・・・」

ちッ!

外では運転手が竹の籠を屋根に乗せるのをマイケルが手伝っていた。


おわり





Desdmonaのコメント:
第1席
作者がフラッシュ・フィクションの鉄則を正確に理解していることが分かります。ピリッとしてて、簡潔で、引き締まっていて、面白い。それに刺激も鋭さもあります。背後にあるもう一つの物語も同時に語っています。最後のキメは、駄洒落で押さえています。普通は、これをすると台無しになるのは確実。でも、本作では美しく決まっているのです。絶品。絶賛。完璧なフラッシュ。



註:
1)ドレミの歌のファのところは英語では、Far a long, long way to run (遠くへ、遠くへ逃げよう)です。
2)オチの書き間違いは、It's knot your fault, but ... です。knotには亀頭の意味があります。