「20歳」 Riding Twenty by Tulsa Brown  From Desdmona's Erotic Stories Contests: 2003 Erotic Postcard Fiction Contest Winners

「車に乗って。今すぐ、乗ってよ!」

信号はずいぶん前に青になっていたし、後ろの車がクラクションを鳴らしていた。私は、運転席の窓から身を乗り出して中央分離帯にいる若者を睨みつけた。彼は、やっと、<小銭をムダにするな>と書いた掲示を降ろしてくれて、だらだらと歩いて助手席側に回り、乗り込んできた。

彼は、しなやかな四肢をしたガゼルのよう。もつれ合う巻き毛のたて髪。バックスキンの色に日焼けした胸をはだけたままにしている。汚らしいズボン。だらしなく腰骨の下までずり降ろして履いている。ふてぶてしい態度。ブツブツ言う私。

「こんなことするなんて、信じられないわ。あなたのお母さんに電話しなくちゃね」

嘘ね。あの嫌な女のことが頭に浮かぶ。夜の11時だというのに電話をしてきて、彼女の息子と私の息子が、うちの地下室でまだビリヤードをして遊んでると、キャンキャン金切り声で文句を言っていた。

息子はすでに大学に引っ張られていっちゃったし、離婚した夫も、新しい若い奥さんのところに引っ張られていっちゃってた。でも、この若者はまだ気ままに走り回ってる。

「ロアンナ?」

彼は、果物を味わうような言い方で私の名前を呼ぶ。

「もし、今、僕がこれをしなかったとして、いつできるのかな? いつになれば、もう一度、20歳になるのかな?」

私にとっての20年は、結婚して、妊娠して、かがみこんでトイレ掃除をして、世の中に首根っこをかかとでぐりぐり踏みつけられていた20年。苦しい思い出に、かえって私のとげとげしい気持ちが和らいでいく。

「お腹がすいているなら、何か食べるものを買うわよ」

「いや、今は、シャワーを浴びたい」 羊のような濡れた瞳。顔をくしゃくしゃにする笑み。

シャワーの水音がする間、私は、引き出しにクレジットカードを入れ、鍵をかけた。テーブルには財布を置き、ピン札のお札を扇のように広げて覗かせておく。面目を保つため。彼は泥棒のつもりになってもいいし、私は奪われた人のつもりになってもいいもの。

彼は濡れた体のまま出てきた。腰に巻いた小さなタオル。太い魅力的な突起がタオルを持ち上げている。私はすでに裸なっている。私の暗く野卑な森に潜むものを見て、彼、また微笑んでいた。すみやかに流れるようなセックス。ギャロップで駆ける馬のように動く彼の背中。ベルベットのようなその背中を、私の両脚が挟んで捉え、包み込んでいく。私は20歳ではないわ。でも、20歳の馬に固くしがみついたまま乗っている。


おわり





Desdmonaのコメント:
第3席
他の多くのフラッシュが、ありがちのフラッシュと感じられていった後も、私はこの作品を離せずにいました。イメージを思い浮かべることができます。ズボンを腰の下まで降ろして履く若者。「偶然」を装ってテーブルに扇状に置かれたお札。このフラッシュのよい点は、そのような甘美に皮肉的な細部の描写です。ええ、確かに、私たちはもはや若くはありません。なれるものにしかなれないのは事実。この作品は、オチをピリッと決めるタイプではありません。ゆったりと落ち着いて、心に残るタイプです。