「バニラ・シルク」 Vanilla Silk By Faeth Lyon-Wall source

「彼女を軽く見ないことね」

月曜の午後遅く、マダム・ベッティーナからのインスタント・メッセージがコンピュータのスクリーンに現れた。僕は、僕にとって初めての矯正セラピーについて、マダムと最終打ち合わせをしているところだった。

「サラは、まったく普通にしている」 大学の僕の研究室から打ち返した。

「だからと言って、サラもバカじゃないわ」

「ああ、もちろん」

「彼女、感づいていない?」

「全く」

火曜日、何の変哲もない茶封筒が家に届いた。僕は無意識的にキッチンでそれを開いてしまった。妻の目の前でである。

腹がわなわなと震えた。

契約事項:緊縛、猿轡、鞭打ち・・・拘束具は勝手に外してはならない・・・さらに矯正の必要がある・・・緊急の言葉は、『バニラ・シルク』。これを発すれば・・・

僕は指を震わせ封筒を持っていた。その様子をサラが見ていた。僕は封筒をさっと片付け、弱い嘘を呟いた。

「顔が真っ青ね」

サラはそう言って、冷たい両手で僕を擦ってくれた。ハッピーの香りがした。妻のつけている甘い香りの香水だ。以前、妻にディオールのポワゾン(参考)を買ってあげたが、彼女はそれをつけたがらなかった。「きつすぎる」 と言って。

火曜日に届いた小包には、皮製の目隠しとヒール高15センチのハイヒールが入っていた。それに、アイボリー色のレース・ソング・パンティ(参考)、クリーム色のストッキング、12個クリップがついたサスペンダー・ベルト(参考)も入っていた。それらを見て顔が赤らんだ。抑制できない興奮が湧いてきて、脚が震え、勃起も脈動していた。

女王様に会う準備のため、服を脱ぐ。一瞬、逃げ出したくなる。サラが作るチーズ・サンドイッチのトーストが待つ安全な場所に戻りたい。僕たちの安全で、幸せに見える家庭に戻りたい。だが、一旦ストッキングに脚を滑り入れ、シームの線を正すと同時に、もはやそれはできなくなった。かかとのところについている花柄が、ガーターで留められるレースのトップ部分とマッチしていた。不安感が欲望とあいまって狂い、吐き気を感じるほど興奮していた。レースのランジェリーの中、ペニスが膨張していた。そして、指示通り目隠しをして待ち続けた。ドアに背を向け、後ろに手を組み、彼女の足音がしても後ろを振り向かない。

従順に手錠をはめられるままになる。口を開き、ゴム製の猿轡をはめられるままになる。不吉なポワゾンの香りが部屋を満たしていた。

「顔が真っ青ね」


おわり



[Reviewers' Comments]

バニラには「平凡な」という意味があります。彼は、そのバニラの妻が彼にしてくれること以上のことを求め、ある女王様と会う機会を設定します。そんな話し、単純だし、ありきたりじゃない? いいえ、それは間違い! このストーリーには非常に多くの繊細で微妙な要素が詰まっています。でも、どこから話していいか分からないし、取りこぼしもしたくありません。ただ、これだけは言っておきましょう。郊外に住む幸せそうな家庭人にもダークな側面があるということ。話の盛り上がり方はとても繊細なので、最初、終わりまで読んだとき、私は椅子に深く座って、「おやまあ!」としか言えませんでした。でも、それから、また読み直し始めたのです。



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