「ワールドカップ未亡人」 I was a World Cup Widow by Souvie Souvie's Web Page

FIFAワールドカップ、ワールドカップ、フットボール、サッカー・・・

どんな呼び方されようと、私には全部同じ意味。セックスなしってこと。

結婚して1年目、付き合って3年目。だから私たちカップルになってからワールドカップを経験したことがなかったのよね。ワールドカップについては話しは聞いていたわよ。大きなサッカー大会というのは知っていた。アメリカの外に住んでいる人には「フットボール大会」と言った方がよいかしら。

5月の13日だったわ。彼が何気なく言ったのよ。どっちかと言うと、お天気の話をしているような感じで。最近再び燃え上がった彼のナンバーワンの話題について話をするような感じじゃ全然なかった。「おっと、言い忘れていたことがあるよ。明日からワールドカップが始まるんだ」

スーパーボールのようなのかなって想像したわよ。2つのチームが大きな試合でぶつかって、1試合でおしまいって感じなのかなってさ。そうじゃなければワールド・シリーズみたいなの? だって「ワールドカップ」と「ワールドシリーズ」って言葉が似てるし。関係ありそう。だとしたら、7試合で、4試合先取したら勝ち。おしまい。って、そういうことかなって。それがとんでもない大間違い。

1日、3から4試合、14日間ぶっ続け。真夜中(ていうか、朝早く? 人によって違うけど)の時間に放送。こんな時間、ふくろうか、酔っ払いか、取り憑かれたサッカーファンしか起きていないわ。それで、彼が夜に起きてて試合を見ない時はっていうと、ビデオに撮って、仕事の後に見てるんだもん。彼、仕事から帰ってくるでしょう。すると私がどんな料理を夕食に作ってもガツガツ食べて飲み込んで、それでもってテレビの前にどっかり腰を降ろしちゃうの。根が生えてるみたいに。魔よけのお守りでも握るみたいにしてリモコン握ったまま。「ゴォォォォーーーーーーーーーーール!」っての、最初の2日ほどで何回聞かされたか知れないわ。そのうち、寝てる間もその声が聞こえるほどになっちゃったんだから。それとも、あれ、ひょっとすると、午前2時の試合のときに彼が叫んでいただけなのかも。

最初の4日間はそれほど酷くはなかったわよ。実際、ドイツがサウジアラビアを8−0で下した試合は見ていて楽しかったわ。「蹴って!そこで蹴って!」って叫んで、キーパーが離れ業をするのを見て、陶酔したわよ。あんな離れ業、あれ以前にはバレリーナがやってるとこしか見たことなかったわ。

7日目をすぎたら、もう物珍しさも消えちゃって、どこがどこに勝とうが、気にするのをやめちゃってたわ。むしろ、気になってきてたのは、私たちの性生活の方。ていうか、セックスがなくなってしまったことの方。前だったら、セックスなしなんて心配する必要がなかったわ。心配する必要がない理由も充分にあったしね。付き合ってた彼氏たちがかち合いそうだとか、彼氏が旅行に出たとか、私が旅行に出たとか、いろいろ。でも、7日間ぶっ通しでセックスなしの関係なんて、これまで一度もなかったわ。

トーナメントになって9日目、依然としてセックスなし。オーラルすらなしよ。少しでもセックスにつながりそうなことすら一切ないの。彼が仕事に慌てて出かけるときの唇へのチュッも、ベッドに入る前の、「ちょっと長いけど、それほどではない」キスも、どっちも何回あったことか。

10日目の夜が明けて、もう、いわば、自分の手で何とかしなきゃダメだと分かったの。でもバイブの電池は入れてから1ヶ月以上にもなってるから、もうすでに弱くなり始めているし、ここだけの話だけど、私の右手首、腱鞘炎になりかかっているみたいなのよ。もう、絶対、ここで行動を起こさなきゃだめだわ。

まず最初は贈賄作戦。「ねえあなた〜、少し早くベッドに来てくれたら、あのあなたの好きな高いビール買って上げる〜」 ダメだった。彼、自分のお金で買えるからいいよだって。「ねえあなた〜、後でベッドに来てくれるなら、試合中ずっと背中をマッサージしてあげる〜」 う〜んと唸って、頭を横に振ってる。思ったほど、彼、背中のマッサージ、好きじゃなかったようね。「ねえあなた〜、おしゃぶりしてあげる。試合が終わったらお返ししてね〜」 彼、私の頭の動きがテレビの視界を妨げないかどうか考えているようだったわ。彼、私のお尻をポンと叩いて、「気持だけいただいておくよ」 だって。

ワールドカップ:得点3
妻:得点0

彼の大好きな料理を作ってみたわ。彼も感謝してくれて、お返しに試合を見るのを諦めて、代わりにセックスしてくれるんじゃと期待してね。彼が帰ってくるとき、玄関のドアのところで、プッシュアップ・ブラとハイレグ・パンティだけの格好でにっこり笑って出迎えたこともあった。帰ってきた彼が言ったのは、「どっちが勝ったか聞いたか?」 だけ。

予選リーグが終わる頃には、もういつ、テレビを窓から放り投げちゃうか分からないほどになってたわ。こんなに欲求不満にというか、Hな気持になって焦らされたこと、私の人生、一度もなかったもの。女の人は32歳でセックスのピークに達するってよく言うじゃない? 私、そのピークだし、それ以上だったわ。

とうとう準決勝。なのにまだナシ。マジで考えたわよ。サッカーのユニフォームを着て、背中に私の名前の「キーン」と数字を書いてさ、土っぽい匂いがするように、芝生の上をごろごろと転がって体を汚して、玄関先で彼を出迎えて、こう言うの。「ヘイ、ベイビー! あんたのズボンの中で膨らんでるのは、サッカーボールかい? それともアタイに会えてそうなってるのかなー?」 って。多分、これもダメね。

私も塞ぎこんじゃって、世に言う「サッカー未亡人」たちがどんな気持でいるのか実感してたわ。無視されて、せいぜいよくても2の次、余分な厄介物。彼女たち、何年も何年も何年もどうやって我慢しているのか、分からない。4年ごとにこれを味わわなくちゃいけないの? それを考えて、ぞぞっと身震いしちゃった。

決勝戦まで後2日。ブラジルのポルノ女王の格好をして、巨大ソーセージを出したら、どうなるかしらとぼんやり考えたわ。でもこれまでの私の戦績からすると、彼、多分、気づきもしないかもねえ。

でも、もうやけくそよ。絶対、決勝戦の朝までにセックスしてもらうんだから。決意を固めて、インターネットを探し回ったわ。特急配達便だから、翌日までに、きちんと入手。今は、愛に飢えたこの可哀想な私の手の中に収まってる。よーし、これで完璧!

決勝戦は私のところだと朝の7時に始まる。6時30分。シャワー、香水、お化粧、着替え、いずれも完了! 後はキックオフを待つだけ!

彼はテレビの前、リモコンを手に握り締めて座っている。アイルランド系のアナウンサの、高揚した声を聞きながら、試合が始まるまであと何分かを数えているわ。私も、ブラジルの国歌演奏にタイミングを合わせて、入場したわ。

彼の視線にしっかり立ちはだかったわよ。当然、テレビの画面のまん前。夢のような赤の下着姿。股間のところが裂けているレースのパンティ、乳首のところがびっくり窓になっているレース・ブラ、スケスケのローブは脚の付け根までの丈。

「おい、お前・・・」 彼、そう言いかけたけど、私の姿をしっかり見たらしく、文句を言う言葉が途中で途切れたわ。彼の視線がさまよっているけど、それは私が着ているもののせい? それとも画面を見ようとしているだけ?

「問答無用!」 きっぱり話し出したわよ。私が本気だってことちゃんと彼に分かってもらいたいんだから。「黙って、聞いて! 私、この1ヶ月、ずっと我慢して、あなたが63試合、邪魔されずに見られるようにと、セックスしたい気持をずっと押さえて来たわ。もう私は充分待ったと思うわ。一人でベッドに入るのはもうたくさん。無視されて、透明人間になったような気持にさせられるのも、飽き飽き。あなたがその気がなくても、今朝こそ、絶対、セックスしてもらいます!」

「ああ」

両腕からローブをすべり落として、足元に脱ぎ捨て。顔を彼から背けて、後ろ向きになって彼の膝の上に座った。両脚は広げて、彼の脚を挟む形。彼、両腕を私の腰に回して擦ってた。「ごめんよ」 私の耳元に囁いてる。

後ろに反り返って、囁き返せるように少し後ろを向いたわ。「分かってる」

そのまま背中を押し付けたまま、目はテレビの画面を見ていたわ。ゲームが始まっている。彼の手は胸に上がっていて、露出してる私の乳首を何気なくいじってる。「ねえ、黄色の方がブラジルよね?」

「ああ」

「それに、このチーム両方とも、ワールドカップに7回出てるんでしょ?」

「ん?」

「この二つのチームが対戦するのは初めてなのよね?」

「ワールドカップでは、そうだよ。いや、それ以外でも初めてかも。分からないや」

彼が硬くなり始めてるのが分かる。お尻をくねくねさせてみた。それから、彼の耳に息を吹き込むようにして言ってみた。「私、ドイツが勝つといいわ。このキーパーちょっとそそられるわ」  彼、うめき声を上げた。

試合について何か私が言うと、それを彼が一種の「イヤラシイ言葉」と受け取ってくれるなら、私、いくらでも言うわ。

そのまま続けた。

そして、ブラジルが2点目を挙げたときまでに、私も2回ゴールを決めてもらってたわけ。


おわり